労働保険の重要な資金基盤である労働保険特別会計
昭和22年に失業保険事業などの経理を明確するために設置された失業保険特別会計と、労働者災害補償保険特別会計が昭和47年に一元化されたのが労働保険特別会計です。
労働保険特別会計には、労働保険料として一括徴収された保険料のうち、労災保険率に相当する部分が歳入として繰り入れられる労災勘定と、同じく雇用保険率の相当する分が繰り入れられる雇用勘定、労働保険の徴収に係る業務を経理する徴収勘定があります。
この3つの勘定で行われる事業で労災勘定で行っているのは、業務上の事由等によって労働者が負傷等を負った時に迅速な保険給付と、社会復帰促進事業や安全衛生確保等の事業です。雇用勘定では、失業時等の給付を行っている他に、雇用安定事業と能力開発事業といった雇用二事業を行っています。
徴収勘定は、これらの労災・雇用保険事業の財源となる労働保険料を一元的に徴収して、これらの保険料を労災勘定と雇用勘定に繰り入れる役割を果たしている勘定です。
こうした勘定の財源は保険料だけでなく国庫負担金からも繰り入れられており、制度の安定化を図っています。
労災勘定では、労災年金受給者に対する将来の年金給付のため、雇用勘定では将来の不況期や失業給付、保険料水準の維持のために積立金を用意しているので、万が一の時にも迅速で確実な給付が可能です。このように労働保険特別会計は、労働者が安心して働くことのできる保険制度の資金基盤となっており、重要な役割を担っています。
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