住民訴訟とは、住民が、自己の属する地方公共団体(県や市、または区)の執行機関、職員による財務会計上の行為の適正を保つために特に認められた、極めて特殊な訴訟です。
地方公共団体は地方税として税金を徴収し、その税金を経費として活動しています。
そのため、地方公共団体が税金を適正に利用しているかどうかは、その地方に住む住民にとって極めて大きな利害がある事項です。
さらに、地方公共団体の政治のあり方は、地方自治の本旨に従って行うことが憲法に定められており、住民自治の精神のもと財務会計上の行為も行われる必要があります。
地方公共団体の公務員の自由裁量によって税金が使われるという状況は国の根本ルールである憲法に反します。
そこで、アメリカの州レベルの判例法として発展してきた、納税者訴訟を参考に導入されたのが住民訴訟です。
この訴訟を提起するためには、まず地方自治法に基づく住民監査請求を行います。
地方公共団体の監査委員に財務会計上の不当な取り扱いがないかを監査させるものです。
その後、監査の結果に不服がある場合などに、初めて訴訟の提起となります。
訴訟の提起の資格については、当該地方公共団体の住民であり、かつ住民監査請求をした者で、外国人であっても提訴の資格は認められます。
住民である以上、国籍に関係なく税金の使い道には利害があるからです。
住民訴訟の提起は様々な難しい問題が含まれるので、専門の弁護士へ相談することがお勧めです。