給与の計算を誤ってしまい、必要以上の金額を支給してしまった際はどのようにしたらよいのでしょうか。
通勤手当のように毎月定額で支払うものは、一度支払いが確定すると金額が間違っていたとしても毎月の計算の際には気が付きにくく、また申請した額よりも多く支給されていた場合、過払いであることを申し出る社員も多くはないので、数ヶ月に渡って誤った金額での支給を続けていたというようなことも少なくありません。
計算に間違いがあった場合、1、2回であれば翌月で調整と言うことも可能かもしれませんが、長期の場合などは金額が多額になるため、翌月で精算すると言うことは困難だと言えます。
しかし、実は労働契約や就業規則の定めに基づいた金額よりも多くの給与が誤って支給されていた場合、その過払い分の給与について会社は「不当利得返還請求権」によってお金の支払を求めることができます。
では、この権利が適用される支払い過ぎであった分は、何年間まで遡ることができるのでしょうか。
期間については、民法の一般原則に従うことになっていて、過去10年まで遡及することが可能です。
具体的な方法としては、労働基準法にて原則が定められているため、法令で定めがあるものや賃金控除に関する協定書に定めてあるもの以外を会社が一方的に控除することはできません。
しかし、社員の同意を得た場合は全額払いの原則に反しないとされているので、社員の了解を得た場合は相殺することが可能です。