裁判所で取り扱われる事件の分類方法として、訴訟事件と非訟事件があります。
これは、裁判所の仕事の役割に着目した分類方法で、訴訟事件は、国民の権利義務について法律の条文に事実を当てはめて判断をするとことをさし、一般的に裁判と呼ばれている事件のことです。
他方、非訟事件とは、裁判所が後見的な立場から国民の相談に乗るといった事件のことをさします。
例えば、離婚に際しての婚姻費用分担について協議がまとまらない場合、法律の条文だけではなく、条理や常識に従って、適切な解決を図るといったことです。
非訟事件は、参与員という有識者を参加させることも可能であり、また国民のプライバシーへの配慮の観点から非公開で行われます。
そして、非訟事件について、訴訟法的な観点から最も特徴的と言えるのが、弁論主義の排除という特例です。
民事事件においては、当事者が提出した事実や証拠にのみ基づいて裁判がなされます。
これに対して非訟事件では、裁判所が職権で証拠を収集したり、当事者が主張しない事実についても判決の基礎と出来るというルールが採用されているのです。
これは、非訟事件が裁判所の後見的サービスとして、やや積極的に事件に介入するという性質から弁論主義の例外が認められているというものです。
このように、裁判所の事件には訴訟事件と非訟事件という区別があり、前者は権利義務を一刀両断的に判断するものであり、後者は後見サービスというものであるという特徴があります。