銀行との間で法律的な紛争が生じた場合、最終的には銀行を被告として訴訟を提起することになります。
銀行は、法人として法律上では人として扱われますので、銀行を被告として訴訟を提起すること自体は法律上全く問題はありません。
ここでは、銀行を被告として訴える訴訟を便宜上、銀行訴訟と呼びますが、この言葉は正式な法律用語ではないことにはご留意ください。
銀行訴訟において訴訟上最も問題となるものとして、証拠の収集が困難という点が挙げられます。
過去の取引履歴や銀行内の稟議書など、訴訟で争点となる点に関する証拠資料の多くは銀行側が所持しています。
そのため、銀行を訴えた原告としては、銀行内部に確実に存在している書類などを証拠として提出してもらいたい反面、銀行は自己に不利益となる証拠は提出しないという問題が起きるのです。
いわゆる、証拠の構造的偏在という問題です。
この問題に対して弁護士は、民事訴訟法では文書送付嘱託の申し立てや、より強い文書提出命令の申し立てなどを行います。
文書送付嘱託の申し立ては、裁判所が任意で文書の送付を嘱託(依頼)する手続きです。
しかし、任意ですのでなかなか応じてくれないこともあり、個人情報保護法などを理由に拒むなどの事態も多く生じます。
他方、文書提出命令は、民事訴訟法の除外事由に該当しない限り文書提出が強制されますので、除外事由に該当するか否かが大きな争点となり、過去の裁判例でも多く争われています。
銀行訴訟では、証拠収集の可能性も含めて勝訴の見込みを検討しなければ、非常に長期な争いとなる可能性もありますので、専門の弁護士に相談されて、訴訟されるか否かをじっくりと判断されることが重要です。