民事訴訟は原告の訴えによって始まりますが、原告はどの様な内容の判決を求めようとしているか、審判の対象を確定する必要があります。
具体的には、代金の支払いの請求や家屋の引き渡し請求など、給付の訴えでは原告が何の請求を求めているのかを明らかにしなければいけません。
他に、親子関係の存在・不存在の主張といった権利を訴えている場合には、どの様な権利や義務、法律関係に対しての確認を求めているのか、離婚や株主総会決議取り消し等の法律関係の変更に関する主張については、どの様な法律関係の変動を求めているかを特定する必要があります。
審判の対象となる特定の権利や義務、あるいは法律関係を訴訟物と呼び、つまり訴訟当事者である原告が、相手方である被告に対して主張する法律上の権利や義務、法律関係の事を指しますが、その主張そのものを訴訟物と捉える立場もあります。
訴訟物が定まらないと裁判の管轄や申立手数料の印紙額も決まらないので、訴えを正当に提起する事ができなくなります。
ですから、訴えを起こす事や訴訟を開始するには、訴訟物を特定する事が極めて重要であると言えます。
訴訟物が定まると民事訴訟が開始されるわけですが、訴訟の手続きの流れは、原告が裁判所に訴えを提起して訴状を提出します。
裁判長は訴状の審査を行い、必要に応じて訴状の補正命令や印紙の追貼命令を下します。
次に被告への訴状が送達され、口頭弁論期日の指定が行われます。
口頭弁論では事実関係を確定し、争点や証拠の整理を行い、判決の言い渡し、判決の執行となります。