使用者が労働者を懲戒処分をするには、就業規則違反である必要があります。
それは、就業規則に定めのない事由によって懲戒処分をした場合、懲戒権の濫用と判断された最高裁の判例があるからです。
また、就業規則に懲戒規定を定める以前にあった従業員の行為に対して、遡って処分をすることも、あるいは1回の懲戒事由に対し複数回の懲戒処分をすることも禁止されています。
就業規則で、懲戒等の処分による減給の制裁を定める場合、その減給が、1回の額で平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えることは、労働基準法で禁止されている事項です。
例えば、従業員が遅刻や早退をした場合に、その遅刻や早退の時間分の賃金を支給しないことは良いのですが、その時間を超える減給をすることは認められていません。
また、3回の遅刻があったときは、その遅刻3回を1日分の減給制裁にするといった規則を定めたとしても、1日分の半額の賃金控除以上のことはできませんので、それ以上の制裁を就業規則で定めたとしても労働基準法違反となります。
従業員を懲戒解雇する際、あらかじめ所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をし、その認定を受けておくことにより、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給しないで解雇をすることが可能です。これは就業規則に定めておく必要があり、その認定を受けずに即時解雇をする場合には、解雇予告手当を支給します。