嘱託社員とは、正社員とは異なる契約によって勤務する形態をいい、定年まで勤め上げられた方を引き続いて会社に所属させるために契約をするケースがほとんどです。
なお、まれに弁護士や社会保険労務士などを嘱託の形で契約する場合もあります。
嘱託社員の場合、正社員とは異なる給与体系を設けたり、退職金の支払いを不要にするなど、人件費削減に役立つ形で契約することが可能です。
しかし、このような人件費削減を実現するためには正社員とは異なる就業規則を作成する必要があるため、注意が必要です。
就業規則は職場の労働条件を統一的に定めた職場のルールですが、正社員と嘱託社員との間で異なるものを作成することが可能ですが、嘱託の社員向けの規則を作成する場合は、正社員の規則とどのような点が違うかをしっかりと周知させておくことが重要となります。
というのは、就業規則は、労働契約法によって内容が合理的であり、かつ労働者に対して周知させる手続きをとらなければ労働契約の内容として効力を持たないこととなっているからです。
例えば、嘱託の社員向けの規則の作成はしたものの、嘱託の方へ周知の手続きをとらずにおいてしまった場合、退職金などの支払い義務が生じる可能性があるということです。
周知の手続きとは、従業員が規則を知ろうと思えばいつでも知ることができる状況に置くことをいい、社員食堂等見やすいところに備え置いておくなどの方法もありますが、コピーを渡しておくことが確実と言えます。嘱託の社員の方向けの規則を作成された後は周知の手続きまで忘れないようにされることが重要です。