当事者訴訟とは、行政事件訴訟法4条に定められている訴訟類型です。
行政事件訴訟法は、国または公共団体の行為について裁判上争うための手続きを定めた法律です。
つまり、国等の公的機関を被告として争うための訴訟手続きなのです。
当事者訴訟は同じく行政事件訴訟法で定められている抗告訴訟との比較で、意味のある訴訟類型といえますが、抗告訴訟は、国等の権力性のある処分について争うための訴訟類型です。
その一方で、当事者訴訟は国等が行う行為のうち、権力性がない行為について争うために有効な手段として定められています。
例えば、戸籍の続柄の記載という行為について不服がある場合、戸籍の続柄の記載を受けない地位にあることの確認の訴えを提起することなどが考えられます。
この訴訟類型は、平成16年の行政事件訴訟法法改正によって新たに定められました。
平成16年改正以前は、国等が行う行為について裁判上的法に争う手段が極めて限定されており、行政訴訟が深刻な機能不全に陥っていたという状況がありました。
そこで具体的に訴訟類型を新設し、行政訴訟を国民に使いやすものとするため、平成16年に行政事件訴訟法が改正されたのでした。
なお、新設された他の訴訟類型として、義務付け訴訟や差し止め訴訟があります。
とはいえ、行政訴訟を個人で起こすことは大変困難です。
行政作用に関する法律は極めて専門的であり、訴訟類型の選択や立証など極めて困難な面が多くありますので、行政訴訟を決意された場合には必ず弁護士へ依頼することをお勧めします。