相続をめぐる争いは、どなたに生じてもおかしくはありません。
相続する権利を有する人や承継できる割合は法律で定まっていますが、例えば、複数のお子さんがおられる場合、承継の割合について争いが生じることは、どの家庭でも想定されることです。
親という家庭の軸足であり、心理的支えがいなくなってしまった場合、どうしても家庭のパワーバランスが崩れてしまいます。
また、親の存命中は予想もできなかった不満が、兄弟間で噴出することもあり得るのです。
これは、人間である以上、どのような家庭でも発生する可能性はあります。
かつて、旧民法の規定では、家督相続という制度がありました。
親が生前に家督を譲り、長子などが家を譲り受けるという制度です。
この制度のもとでは、親は死亡以前に兄弟間の問題が生じないよう配慮をすることが可能でしたが、現在の民法では、家制度廃止に伴い家督を譲るということもできなくなり、死亡以外に包括承継の原因はなくなりました。
そこで、生前に問題が生じないようにするためには、対策として遺言書を残しておくことが最も確実な方法といえます。
遺言書は、最終意思として法律の様式を守っている限り最大限尊重されるものです。
自筆証書遺言として残すことも可能ですが、死亡後に発見されないという恐れがありますので、公証役場を利用した公正証書遺言または秘密証書遺言をお勧めいたします。
死はどなたにも訪れます。
エンディングを後顧の憂いなく迎えられますよう、遺言書を残されることをお勧めいたします。