自己破産の場合に注意したいのは、法人と個人における違いです。
法人とは、法律によって会社企業が人として取り扱われるということです。
もっとも、自然人である私たちと同様に認められるものとしては、経済的な取引主体としての地位および犯罪としての処罰対象としての地位ということになります。
通常法人は、経済的な主体として活動しており、法人による損益は法人自体に帰属することになります。
すなわち、法人を代表する取締役などには、その損益は直接に帰属するものではありません。
これは、自己破産を会社が行った場合も同様のことがいえます。
すなわち、企業が負った負債が返済不能に陥って破産の道を選んだ場合には、たとえその行為の原因が代表取締役にあったとしても、これらの者の個人財産に対して、債権者としては請求をかけることはできないのです。
ただし、法人の債務について法人の代表者やその家族、あるいは親族などが連帯保証人となっている場合は、この限りではありません。
すなわち、法人企業が倒産になる前に債権者から請求を受けることになり、もし債務を返済できなければ、代表者などの自宅などに抵当権が設定されているような場合には、当然担保権が実行されて、自宅不動産が競売にかけられ、換金されてしまいます。
一方、個人的な保証をせずに、法人の債務にとどまる場合には、法人財産だけの問題となります。
この点は、個人が自己破産をした場合とは大きな違いがあるのです。