現在、広く一般的に使用されている登記簿謄本というものは、正式には履歴事項全部証明書などの証明書と言われるもののことです。
厳密にいうと、これは謄本ではなく、まったく異なるものなのですが、現在のパソコンを使ったコンピューター処理による事務手続きにおいては、履歴事項全部証明書などの証明書は、登記簿の謄本に代わる、同じような役割を担うものとして、また、一般的にも履歴事項全部証明書は登記簿謄本と呼ばれているものであることから、謄本の役割と履歴事項全部証明書の役割は同じものであるといった解釈となっております。
紙の登記簿から、正式な登記簿原本の内容として、そのまま写し取ったものが謄本になります。
コンピューター処理によって、電子化情報となっている登記事項証明書関連の情報をプリンターにて出力したものは謄本とは言わずに、それらは履歴事項全部証明書などの証明書ということになっています。
ただし、そこを厳密に区別すると、行政機関も含めて世間一般的に混乱してしまうことが容易に予想されるため、履歴事項全部証明書などの証明書を謄本とする解釈が許容されているのです。
登記簿謄本の役割としては、国家機関が証明する各種存在や権利の明確化です。
謄本によって、物件であったり、船舶であったり、会社などが存在しており、誰がその権利や責任を持っているのかを、あるいは、持っていたのか、その権利を変更したのか抹消したのかを明確にするためのものなのです。