就業規則とは、使用者が作成する労働条件や職場規律について統一的に定めた会社・事業所のルールのことをいいますが、会社のルールである以上、この就業規則(以下、単に規則と呼びます)はコピーをして従業員に渡す法的義務はあるのでしょうか。
規則は主に、労働基準法と労働契約法で取り扱いや法律的な効力について定められています。
労働基準法上は、規則は作成後に労働者の過半数代表者(または労働組合)の意見を聞いて労働基準監督署へ届出をすることが要求されており、労働契約法では、合理的な内容を持った規則は、従業員に対して周知の手続きを経ることによって労働契約の内容となる旨が定められているのです。
つまり、労働基準法および労働契約法では、規則は労働者の目に触れることが要求されているといえるでしょう。これは職場規律であり、労働条件を定めたものである以上、そのルールが適用される立場にある従業員には当然ルールの内容を知るべきであるという考え方に基づいているといえます。
しかし、規則について労働者にコピーを渡すことを要求した法律上の決まりはなく、あくまで過半数代表者の意見を聴くことと、周知の手続きをとることが要求されているだけです。
そのため、法律的に使用者が規則のコピーを従業員に渡さなければならないという法的義務はないということになります。ただし、労働者が求めた場合には、いつでも閲覧させなければ罰則の規制もありますので、この点は注意が必要です。